こんにちは、かなえ整骨院です。今回は長い話になります(^^;)
ある日のこと。
腰や膝の痛みを訴える新患さんが来院なさいました。
もう長いこと腰や膝の痛みに苦しめられ(とは言えまだ40代ですが)、
整形外科で腰の牽引や電気治療、膝にヒアルロン酸注射など
色々行っているが一向に良くならない、とのことでした。
待合室からベッドへの移動の様子を観察していると
明らかに足を引きずっています。
見た目はずいぶん辛そうな印象でした。
ベッドへの移動後、関節可動域のチェックを行いましたが…
あれ?思いのほか動きがいいぞ?
膝の関節可動域に特に制限はありませんでした。
変形性膝関節症の初期でまだ制限も出ていないのかな?
続いて膝周囲の圧痛を調べてみました。
押されれば痛い程度で、特段痛い訳でもない。
腰にしても同様で、腰自体動かしてもさほど痛くない。
押した痛みも疲労による張り程度のもので、ものすごく痛い訳でもない。
???痛みを訴えてる割には他覚的所見が乏しいな…?
当院は鈴木トリートメントという骨盤矯正術に力を入れています。
そこで、今度は骨盤のズレをチェック!
うむ!明らかにズレてる!!
そこで患者さんに状況を説明し、骨盤の矯正を開始。
骨盤を正しい位置に持っていきました。
私:「さあ!これで歩いてみてください!!」
患:「わぁ~!先生、歩きやすくなりました!!」
…というシナリオを描いておりましたが、変化なし。
おかしい…(汗)
まぁ骨盤の矯正と、組織の損傷の回復にはどうしてもタイムラグがあるので、
次回までには痛みも落ち着いているかなー(;^_^A
しかし、どうにも腑に落ちない私。
何か忘れている…。
悶々としながらふくらはぎのストレッチを行った瞬間、
ガガガガガガガガッ!!!
ものすごい勢いで足首がけいれんを起こしました!!
こ、これは…!
反対側のふくらはぎをストレッチしてみると…
ガガガガガガガガッ!!!
こちらも激しいけいれん。
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そういうことか!!
患者さんの手の中指を爪で弾いてみると、
親指がクックッと勝手に曲がりました。
次に膝蓋腱反射(脚気のテスト)を行ったところ、
危うく顔面を蹴られるほどの勢いで膝が伸びました。
私:「首は問題ありませんか?」
患:「昔痛めたことがあります。」
私:「洋服のボタン掛けは問題なくできますか?」
患:「大丈夫だと思います。」
私:「急にトイレが近くなったりすることありますか?」
患:「あるんです!!」
私:「一度首を病院で診てもらってください。」
これでこの日は終了しました。
今回私は上記の所見から、「頚椎症性脊髄症」を疑いました。
頚椎症性脊髄症は頚の骨の変形などにより、脊髄が圧迫を受ける疾患です。
脊髄が圧迫を受けると手指の巧緻運動障害(洋服のボタンが掛けられない等)や、
下肢腱反射亢進、病的反射の出現、痙性歩行障害、神経因性膀胱などがみられます。
Youtubeで見て頂くとどのようなものかお分かりいただけると思います。
後日、大学病院で検査を受けたところ、やはり頚椎症性脊髄症だったそうです。
【まとめ】
今回の症例は目先の症状ばかりに囚われて根幹を見ていなかったがために
発見が遅れた、残念なものでした。(当院も危なかった…汗)
当院で良くしてあげられなかったのは残念でしたが、大学病院へ引き継げたのは
患者さんにとって良かったのではないかと思います。
我々柔道整復師は、患者さんを治すのも勿論大切ですが、
症状をしっかり見極め、しかるべき機関に患者さんを導くのも
大切な役割だと思いました。
長々とお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m