こんにちは、かなえ整骨院です。
今日は現在当院で見ている肘の外側の痛みの症例をご紹介させていただきます。
まず、肘の外側の痛みとして挙げられるものに上腕骨外側上顆炎、通称テニス肘と呼ばれているものがあります。
テニス肘については以下の通りです。
【 概要 】
上腕骨外側上顆炎はテニスのバックハンドによって発症することが多いのでテニス肘とも呼ばれています。
上腕骨外側上顆には手関節や手指の伸筋群(伸ばす方の筋肉)が付着しており、特に短橈側手根伸筋の使い過ぎにより付着部にストレスがかかって変性が起こったり、筋線維などに微小な断裂が起こると運動時の痛みや安静時も痛みをきたすようになると言われています。
【 症状 】
テニスのバックハンドの他タオルを絞るなど、手関節の抵抗性背屈運動(手首を起こした状態のまま手首を下げる力に耐える運動)で肘の外側ないし前腕の橈側(親指側)に痛みが生じるのが主な症状です。
テニス肘という名前がついておりますが、重いものを摘まみ上げて痛くなったり、パソコンのタイピングで痛くなったりなど、発症するシチュエーションは様々です。
【 診断 】
整骨院ではレントゲン検査はできませんので、徒手検査によって調べていきます。
上腕骨外側上顆炎の徒手検査法としましては、
- Chairテスト
肘を伸ばして前腕回内位(掌が下を向く状態)で椅子を持ち上げた際に肘の外側に痛みが出たら陽性です。
- Thomsenテスト
肘を伸ばして掌が下を向くように前腕を捻り、
手をグーにして手首を起こします。
検者が被験者の拳を下におろすように抵抗を掛け、肘の外側に痛みが出たら陽性です。
- Middle finger extensionテスト
肘を伸ばして掌が下を向くように前腕を捻ります。手はパーの状態でキープします。
検者が被験者の中指を下に押して肘の外側に痛みが出るようならば陽性です。
【 治療 】
基本的にまずは安静にしていただきます。
痛みが出たらアイシングで炎症を抑え、テニス肘バンドで患部へのストレスを軽減します。ちなみに、テニス肘バンドを巻く位置は、肘関節から前腕の全長の1/3までの間で巻くと最も効果が期待できるとの報告があります。
物理療法としましては、一般的には超音波治療が有効と言われています。
そのほか前腕伸筋群のストレッチや、筋力強化訓練を行います。
以上がテニス肘の紹介ですが、
今回の患者様の肘の痛い箇所はテニス肘の疼痛出現部位とは違い、腕橈関節に痛みがあり、
上記の徒手検査では陽性反応が出ませんでした。
患者様からは肘を完全に伸ばした際に痛いとの訴えがありました。
患者様の訴えや疼痛誘発動作から関節内病変を疑い、fringe impingement testを実施したところ陽性反応が出ました。
fringe impingement testとは、腕頭関節部への疼痛誘発テストで、肘関節伸展位で検者が前腕回内位にしながら外反ストレスをかけて痛みが出るか、もしくはクリック音がある場合を陽性とし、関節内病変を疑います。
日本整形外科学会診療ガイドライン委員会が発行している「上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン」にも「障害部位の大半は短橈側手根伸筋の付着部である」とありますが、なかには橈骨輪状靭帯の断裂や狭窄、滑膜ヒダの炎症や関節内への嵌入も存在すると記載されています。
治療法はテニス肘とあまり変わらず、安静と前腕伸筋群の筋力強化、ストレッチングを行っていきますが、当院ではハイボルトという高電圧治療器も使って施術を行っています。
患者様の普段の仕事での腕の使い方を考慮し腕橈骨筋と、痛みの出ている腕橈関節に向けてハイボルトをかけてみたところ、その2か所へのアプローチで肘を伸ばし切ったときの痛みはほぼゼロになりました。
しかし、その後約1か月ぶりに再び痛みを訴えて来院なさいました。
こちらの指導不足を反省し、今後再発防止のために普段の生活での安静と、前腕の筋力強化訓練とストレッチを徹底して指導していく所存です。